2019.10.02
資産運用の基礎知識
資産運用の種類別・タイプ別のリスク
資産運用の基礎知識
(概要)これから資産運用を始めたいと考えているみなさんに、おすすめできる資産運用の種類、知っておくべきリスクについて解説します。それぞれにリスクは伴いますが、比較的安全性の高い円建て債券や、プロに運用を任せることができる投資信託は初心者向きです。
資産運用のリスクとは
Aさんが1株1万円の株に投資したところ、株価は1カ月後12,000円に値上がりしました。この時点の差額2,000円がAさんの利益になります。しかし、さらに2カ月たった後に株価は8,000円に値下がりしました。つまり、1株1万円の株が3カ月後には8,000円の株価になったわけです。
さて、この例から資産運用にある「リスク」について考えてみましょう。
「Aさんは株で2,000円の損をした。それがリスク」とお考えの方が多いかもしれません。しかし、Aさんの株は一時は2,000円の利益になっています。
実は、資産運用におけるリスクとは「2,000円の損」と「2,000円の利益」という「点」ではなく、その間の4,000円という「株価の値幅」をさします。つまり、10,000円の株が、12,000円になるかもしれないし8,000円になるかもしれないという不確実性、それがリスクなのです。
そして、この「幅」が大きいものをハイリスク、幅が狭いものをローリスクと言います。
資資産運用のリスクの種類
これから資産運用を始めようと考えている人には、ローリスクな投資商品から始めることをおすすめします。
①株式
資産運用ですぐに頭に浮かぶのは株式投資かもしれません。証券取引所に上場している企業の株券を安い時に買い、高くなったら売れば利益が生じます。
また、株主優待券など株に投資するだけではない魅力があり、この点でも人気があります。しかし、企業は永続的な発展・成長を目ざしているとは言え、ご承知のように、経営破綻などもありえます。そうなれば投資した金額を大きく失うことになります。これが株式にあるリスクです。
②債券
円建て債券には日本の政府が発行する国債、また企業が発行する社債などがあります。
債券のメリットは、国債であれば国が、社債であれば企業が、期日が来れば額面に利息をつけて返すと約束している点です。
デメリットとしては、日本円建ての国債も社債(特に信用度が高いもの)も、ともに利息が低いという点です。途中売却の際には価格変動リスクがありますので投資金額を下回る可能性があることから注意が必要です。また、日本の債券にくらべ利息が高い外国債券があります。その点で魅力はありますが、円貨建て債券のリスクに加えて多くの場合は為替リスクが発生しますので注意が必要です。
③REIT(不動産投資信託)
資産運用の一つに現物の不動産投資があります。さまざまな形がありますが、ローンを組んでワンルームマンションを購入し、それを賃貸に出し、家賃でローンを返済する。ローン返済後、物件は自分のものになり、続けて賃貸に出して家賃収入を老後の生活費に加えるという形が人気です。しかし、ワンルームマンション投資は、誰も住む人がなく空き室になれば、ただローンの返済に追われるだけということにもなります。
これに対し、REITは不動産投資信託と呼ばれている金融商品です。REITは不動産投資会社が投資を募り、集まった資金をマンションや商業施設などに投資し、その賃貸収入、あるいは不動産の売却による利益を投資家に分配する形の不動産投資です。
不動産の運用に関する一切を不動産投資会社に任すことができ、運用による利益から口数に応じて分配金が出る点、投資信託とよく似ています。
しかし、投資信託同様、不動産投資会社の運用が思わしくない場合、募集に応じて支払った金額は、元本のままは返ってこない、あるいは大きく下回るというリスクもあります。
④投資信託
これから資産運用を始めようとする方におすすめしたい商品は投資信託です。
投資信託は国内・外国の株式、国内・外国の債券やREITなど複数の運用先を一つのパッケージにしたものが多く、資産が偏らずに分散されているというメリットがあります。
たとえば国内の株が値下がりしても海外の株でその分をカバーする、あるいは、利息が低い日本の国債と利息が高い外国の国債に分散投資することで、ある程度の利回りを維持するということです。このように値動きが違う商品を組み合わせることでリスクを下げる効果が期待できます。
ただ、投資信託は国債や社債のように投資期間中は利息を受取り、満期には当初に決められた金額で資金が返ってくるというものではありません。運用によって利益が出れば、投資した口数に応じて値上がり益を得ることができますが、利益が出なかった場合、元本を下回る可能性もあります。これが投資信託のリスクです。
しかし、投資信託はその運用を資産運用のプロ(ファンドマネジャー)に任すことができるとい魅力があります。もちろんプロに任せるということは、その分経費(信託報酬等)がかかりますが自分で投資先の資産を選ぶよりも、自分のやりたい投資に近い考え方で運用をしている投資信託を選ぶ方が手間も掛からず、任せられるというメリットがあります。
何に投資するべきかは、投資家次第とはなりますが、いずれにせよ投資をするにはその仕組みを理解した上で始めることで自分にとって最適な投資を選ぶことができるでしょう。