資産運用白書Article

2019.10.07

資産運用の基礎知識

資産運用で目安となる利回り

資産運用の方法

資産運用において自分の考えにあった資産配分を決めるポートフォリオの作成はとても重要ですが、あわせて目標金額に対する利回りを設定しているでしょうか?個人投資家の場合、資産運用全体の「利回り=目標金額に対する利回り」を設定していないことが多いようですが、利回りを設定することによって、資産運用に具体性、計画性が出てきます。

 

目標の利回り設定をするメリット

個人投資家の多くは、個々の金融商品についてはそのリターンとリスクを検討しても、資産運用全体についての「利回り=目標金額に対する利回り」を設定していないように見受けられます。
その一方、機関投資家は必ず目標金額に対する利回りを設定しています。もちろん設定通りにいかない場合もあるわけですが、目標金額に対する利回りを設定することで、資産運用のポートフォリオを決定していると言うことができます。これは個人投資家のみなさんも、取り入れるべきことでしょう。というのも、目標金額に対する利回りを設定することはご自分の資産運用をより計画的に、より具体的にすることにもつながるからです。

例えば、老後の生活資金形成を目標に資産運用を始めようという場合、まず何年後にどのくらいの資産が必要になるかを出してみます。その金額と運用資金を見比べると、どの程度の利回りを設定すれば目標に達するかがわかります。
これは、住宅の購入資金形成のための資産運用でも同じことが言えます。元本となる運用資金、目標とする金額、目標金額達成までの年数によって、目標利回りが見えてきます。

インターネット上の証券会社、銀行など金融機関のページには「資産運用シミュレーション」がありますから、一度お試しになってみて下さい。元本、期間、目標金額などを入力すれば、そのために必要な利回りを把握することができます。
もちろん、あくまでもシミュレーションですから、「必ずそうなる」というわけではありませんが、利回りを具体的な数値で把握することは資産運用計画にとって欠かせないものなのです。

 

利回りと利率について

ここで利回りと利率について基本的なことを確認しておきましょう。

利率は、額面金額に対し毎年受け取る利息の割合です。例えば額面金額100万円の債券があり、毎年4万円支払われるとしたら利率は4%ということになります。
一方利回りとは、投資金額に対する利息も含めた年単位の収益の割合のことを指しています。

例えば、利率4%の債券を100万円購入し、4年後に104万円で売却したとしてみましょう。4年間の利息は、「100万円×4%×4年間=16万円」。それに売却益が「104万-100万円=4万円」。4年間の収益は16万円+4万円=20万円になります。
これを4年間で割ると20万円÷4年間=1年あたり5万円となり、利回りは5%ということになります(実際には、税金などの費用も考慮する必要があります)。

 

利回りを軸とした資産運用

さて「期待運用利回り」についてですが、2016年に世界28カ国の個人投資家約2万人を対象に行われた調査では、世界の投資家の期待運用利回りは平均9.1%と、非常に高い水準を示しています。さらに、10%以上の運用利回りを期待している投資家が、約半数に上りました。(シュローダー・グローバル投資家意識調査2016年、参照)。

高い利回りにはそれ相応のリスクが伴います。しかし、調査結果では、ほとんどの投資家が元本確保を重視していることも明らかとなっています。
日本でも定期預金金利が5%以上だった時代とは、投資環境は大きく様変わりしています。現在の低金利環境下でも投資に対して過度な期待を抱いていることは、長期的な資産形成を考慮するうえで、大きな問題と考えます。

この調査結果を、みなさんはどう捉えるでしょうか。金融庁の「資産運用シミュレーション」は、毎月2万円の少額投資による積み立て投資を想定し、「年3%の収益が期待される低リスク商品」に投資した場合をモデルケースとしています。
個人投資家にとって、利回り3%のポートフォリオは魅力的ではないかもしれません。しかし、投資はリターンと共にリスクの抑制を考えなければなりません。期待値を優先すれば大きなリスクを負う可能性があります。

金融庁が公開している資料の「つみたてNISAの創設」に関するページを見ると、「国内外の株式・債券に分散投資した場合の収益率の分布」が出ています(金融庁説明資料 平成29年2月24日 参照)。
1985年以降の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買付けを行ったと仮定した時に、保有期間5年の場合はリターンにバラツキがあるものの、「20年の保有期間では、投資収益率2~8%(年率)に収斂」とあり、長期間の保有によって2%~8%の利回りを得られる可能性が高いことが示されています。
分散投資(投資対象の分散と投資時期の分散)により、中長期的に安定的なリターンの実現が可能になります。投資対象をグローバルに分散させることで、世界経済の成長の果実を享受することができ、また投資時期の分散(積立投資)により、高値掴み等のリスクを軽減しリターンの安定化が可能となるという事を金融庁はこの説明資料で記載しています。
もちろん、確実に「2%~8%の利回りを得られる」ということではありません。
しかしある程度リスクを抑えた運用でも、積立投資により継続的に得ることが可能な利回りの参考になるでしょう。

また、インターネット上には分散投資について運用シミュレーションが行えるページがあります。
国内債券、外国債券(先進国、新興国)、国内株式、外国株式(先進国、新興国)、不動産関連投資などについてリスクとリターンの参考値が出ますので、資産運用の目的、運用資金等と併せて検討するのに便利です。

ただし利回りを軸にした資産運用は、想定利回りにこだわりすぎて「利回りありき」になる失敗を招く恐れもあります。想定利回りが高いからといって良い投資という訳ではないので、この点も併せて検討しましょう。

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