2019.10.09
資産運用の基礎知識
資産運用における不動産投資の特徴
資産運用の方法
(概要)資産運用において、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンと言われています。元本が保証されているわけではありませんが、株価のように値動きがあるわけではなく、ある程度安定的に家賃収入を得ることが期待できると考えられています。今回は不動産投資の特徴を、他の投資と比較しながら考えてみましょう。
不動産投資の特徴
資産運用においては、リターンは小さいものの安心感がある投資をローリスク・ローリターンと呼びます。
ローリスク・ローリターンの代表格といえば日本の国債です。国が元本と利息を保証しているわけですし、価値が急激に下がることは考えにくいでしょう。しかしその反面、リターンが小さいことから、資産を増やすという面ではあまり魅力がないとも言えます。
ローリスク・ローリターンの反対はハイリスク・ハイリターン。大きなリターンを期待できるもののリスクも大きな投資を言います。
ハイリスク・ハイリターンの投資としてよく挙げられるのは株式投資です。「価値(=株価)」の変動幅が大きく、大きなリターンを期待できる反面、株価の下落によって元本割れになるリスクもあるからです。
この考え方にそって不動産投資を見た場合ですが、国債のように元本が保証されているわけではありませんからリスクはあります。しかし、不動産の価値の変動幅は「土地神話」に踊ったバブル・バブル崩壊期を除けば株式などに比べ小さく、中程度のリスク、中程度のリターンと想定されており、ミドルリスク・ミドルリターンの投資と位置づけられています。
不動産投資のメリットとデメリット
不動産投資のメリットを、比較的少額ではじめられるワンルームマンション投資を例に考えてみましょう。
ワンルームマンション投資は、ローンを組んでワンルームマンションを購入し、それを賃貸に出して家賃収入でローンを返済。ローン返済後、マンションは資産として残り、なお賃貸に出せば家賃収入を丸ごと生活費にあてることができるというものです。現在、将来の資産作りの為にワンルームマンション投資をしている人が多くいます。
家賃収入には株価のような値動きはありませんから、月々一定の収入を計算でき、資産運用計画を立てやすいというメリットがあります。物件管理も管理会社に一任することができ、株式投資のように、常に株価の動きが気になる精神的ストレスもありません。
デメリットを挙げるとすれば、株式や投資信託などはインターネットからでも手軽に始めることができますが、不動産投資の場合はそうはいきません。不動産投資にとって、最も重要な物件の選択にあたっては、やはり自分の足を使って探す必要があります。
また、大きなリスクとして、空室になってしまうことが挙げられます。空室になってしまっては月々の家賃収入が得られないわけですから、ローンの返済に追われる可能性があります。
ただ株式やFX、投資信託などにある価値変動リスクは自分でどうすることもできませんが、空室というリスクに対しては、例えば設備面を強化する、家賃を期間限定で値引きするなど、自分の力でリスクを小さくすることができます。つまり、不動産投資には「経営」という要素が入り、その点やりがいも違ってきます。
不動産投資と節税について
さて、不動産投資は節税効果があると言われます。その際よく挙げられるのが、「減価償却」です。
「減価償却」とは、主に有形固定資産について、使用度や時間の経過によって次第に価値が減少するため、価値の減少分を費用として損失計上する経理処理のことです。賃貸経営において減価償却は、資産に投下された資金を法定耐用年数の全期間に渡って回収していくことになります。そのため、減価償却資産の建物にかかった金額を、即時全額を経費計上できず、法定耐用年数の各課税期間に経費として計上することになります。
これは、実際の出費ではなく経理上の数字ですが、経費計上できることで利益を圧縮(減少)させることができ、その分節税できるというわけです。
この減価償却について、「節税できる」というワードは不動産投資を勧誘する際のキーワードになっているようです。しかし、株式投資などによる利益にはそのまま税金がかかるのに比べ、不動産投資は「利益を圧縮して節税することができる」という程度に考えるべきでしょう。
そもそも、不動産投資は資産を増やすために行うものであり、「節税のため」という目的だけでは、あまり効果的ではないと考えます。不動産投資と、すでに所有している不動産を活用する、不動産運用とは意味合いが少し異なります。
そのほか不動産投資として注目されているのが「不動産投資信託(J-REIT)」です。
多くの投資家から集めた資金を専門家がオフィスビル、商業施設、マンションなどに投資し、そこから発生する賃貸料などを投資家へ分配するものです。投資信託の一つですが、テナント募集など運用はすべて専門家に任すことができ、また、小額から始められる点で人気があります。
しかし不動産投資を主に行う投資家は、ローンで不動産を購入することで手元資金以上の投資を行う「レバレッジ」を期待している場合がほとんどです。REITはその性質上、株式投資に近い金融商品なので、通常の不動産投資とはその違いを理解して投資を検討することが重要です。