2019.10.03
資産運用の基礎知識
年収別、資産運用割合の目安は?
資産運用の基礎知識
(概要)資産運用においては、現在の資産状況を考え、その何割を運用にまわすかを検討する必要があります。年収により、資産運用にまわす金額には違いが出てきます。年収500万円であっても貯金にまわすお金の一部、たとえば1万円~2万円程度であっても投資を始めることができます。
資産運用の割合
資産運用には年収の何割程度をまわせばよいか?その答えは人によって違うというのが正しいでしょう。同じ年収の方でも現在、貯蓄がしっかりある方とそうではない方では答えは違ってきますし、年齢によっても、また、資産運用の目的によっても違ってきます。
日本、アメリカ、ユーロ圏を対象に「一般家庭の資産構成」を調査したデータによると、日本の場合、「現金・預金が52.5%、投資16.2%」となっています。
それに対しアメリカ人の一般家庭は「現金・預金13.1%、投資53.9%」と日本の家庭と大きく異なります。また、ユーロ圏を見ると「現金・預金33%、投資31.3%」となっています。(2018年に公表された日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」を参照)
この調査結果から、日本、アメリカ、ユーロ圏それぞれの国民の投資に対する考え方の違い、その背景等さまざまな意見が出されています。
その中には「だから日本人ももっと投資に積極的になるべきだ」というのもありますし、「もっと投資にお金を使い日本経済に流動性をもたらすべき」という意見もあります。
しかし、そうした意見が日本人の感覚にマッチしているかどうか、これはまた別の問題でしょう。
貯金と資産運用について
もう一つの調査結果をご紹介しましょう。日本人は貯金好きと言われますが、年収のうちどれくらいを貯金にまわしているかを調べたデータ(金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2017年))です。それによると手取り年収の10~15%程度を貯蓄にまわしている人が一番多いとなっています。
手取り年収を500万円とした場合、その10%であれば50万円、15%であれば75万円が貯金にまわされていることになります。1カ月あたりの貯金額は10%の場合は約4万1,600円、15%の場合は6万2,500円になります。
このデータをもとに手取り年収500万円の方の資産運用を考えてみましょう。
たとえば投資信託には「投信積立(積立投信)」というものがあります。株式や債券などの金融商品を1つのパッケージにした投資信託(投信)を、毎月一定額を購入しながら積み立てていくものです。積立金額は1万円(低いものであれば100円)から始めることができます。
1カ月あたり約4万1,600円、あるいは、6万2,500円を貯蓄にまわしている方にとって検討しやすい投資と言えるでしょう。
銀行預金のように元本が保証されるものではありませんが、銀行に預金して得るリターン(つまり、利息)よりも大きなリターンを得る可能性があります。
年収別資産運用割合について
さて次に、年収別の資産運用について、その割合を考えてみましょう。
いま、手取り年収500万円の人を例に、貯金にまわすお金の一部を投資に向けるという案をお話しました。しかし、すでにある程度の貯金があり、資産形成ができているのであれば、投資にまわす割合を増やすのも検討項目に入るでしょう。
現状、日本の一般家庭の資産構成のうち投資は16.2%ですが、この数値、あるいは20%を目安に考えてみるということです。急にこの数値にするというのではなく、投資による資産形成を経験しつつ徐々にこの数値に近づける、その目安という意味です。
手取り年収300万という人の場合、月収の10%~20%は貯金にまわすという一般的な貯金の目安から考え、貯金にまわすお金の30%程度を投資に向けることを検討されてはいかがでしょう。貯金による資産形成と、投資による資産形成を平行して行うことで、貯金だけに比べて、より資産形成を早めることができます。
年収1,000万円以上という人の場合、すでに投資の経験をお持ちの方も多いと思いますが貯金もある程度の額になっているでしょう。この場合、貯金をそのままにしておくのではなく、貯金のうち10%~20%を投資にまわすということも検討項目になるでしょう。
銀行預金には元本保証という大きなメリットがありますが、現在の金利を考えれば、以前のように「貯金しておけば安心」というわけにはいきません。将来を見据えて、やはりなんらかの手を打っておくことをおすすめします。
バブル時代、銀行の金利は普通預金で2%、定期預金で6%という現在では考えられないような時期がありました。ちょうどそのころ「財テク」という言葉が流行しましたが、今回お話しした資産運用の割合については「財テク」という言葉はあてはまりません。
現在の家計の状況、そこから出せる余裕資金をいかに運用するか、そこがポイントです。