2019.09.10
投資信託を活用しよう
投資信託は長期と短期どっちがお得?
投資信託は長期と短期どっちがお得?
(概要)投資信託によって資産を増やすためには長期と短期どちらが得なのでしょう。複利メリットは期間が長いほど大きくなるため、長期投資のほうが「得」と言えます。短期投資は「ハイリターン」が期待できるほか、利益の確定が早く行えます。長期、短期それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。
投資信託における「得」の考え方
投資信託における長期投資と短期投資、どちらが「得」か?
これから投資信託を始めようとされるみなさん、あるいは、すでに投資信託を始めている方にとっても気になる問題だと思います。どちらが「得」なのか。しかし、この「得」にはさまざまな意味合いが考えられそうです。
たとえば、「手持ち資金100万円を2倍にしたい」と考え、仮に商品Aは3カ月で2倍になる、それに対し、商品Bは3年間で2倍になるということが確定しているとしましょう。この場合、どちらを選択されるでしょうか。
「それは商品Aに決まっている」とお答えになる方が多いと思いますが、しかし、そのための条件はどうでしょう。
商品Aを2倍にするためには3カ月間、デイトレーダーのように午前午後パソコンにしがみついて株の値動きをチェックしなければならない。そのためには現在の勤めをやめなければならない。それに対し、商品Bにはその必要がない。単に3年間、商品Bを保有していればよい。条件がこのように違えば、選択も自ずと違ってくるはずです。
つまり、この場合、手持ち資金が2倍になるという「得」については同じですが、そのための条件についてどちらが「得」か、どちらが自分に合っているかということも問題になってきます。
投資信託を始めるに際しては、老後の準備資金作り、子供の教育資金作り、あるいは車の購入資金作りなど、さまざまな目的があるでしょう。
投資信託を短期で考えるか、長期で考えるかも、やはり、何のために投資するのかという、最初の目的を明確にした上で検討すべき問題です。
そして、手持ち資金が2倍になることが「確定」している商品というものは、現実にはありません。
72の法則について
投資には「72の法則」というものがあります。資産運用において投資資金(元本)が2倍になるために必要な年数が分かる計算式です。その計算式は簡単で「72÷金利(%)=投資期間」というものです。たとえば3%の利回りで、投資資金が2倍になるには何年かかるかを知りたければ「72÷3%(金利)=24年」となります。
逆に手持ち資金を10年で2倍にしたい。そのためには何%の利回りが必要かを知りたければ「72÷10年=約7%」、運用利回り約7%が必要になる、ということが分かります。
ここで重要なのは、この計算式は金利の複利効果によって「元本を2倍にしようとした場合の投資期間を求める計算式」という点です。単利の場合の計算式は「100の法則」と言われ、計算式は「100÷金利=投資期間」です。
ちなみに利回り7%で計算してみると「100÷7%=約14年」。単利の場合、14年で投資資金(元本)が2倍になるということです。複利の計算式である「72の法則」では、「72÷7%=約10年」ですから、単利と複利では4年の差が出ることになります。
投資信託の場合、同一のファンドに再投資することで複利メリットが生れます。複利メリットは期間が長いほど大きくなりますから、この点から見れば長期投資のほうが「得」ということが言えそうです。
しかし、そうとばかりは言えません。なぜなら、短期投資にはまた別のメリットがあるからです。
短期と長期
短期投資の「得」は何かといえば、「ハイリスク」の代わりに短期間で「ハイリターン」が期待できる可能性もあるということでしょう。
特に値動きの幅が大きい商品は、リスクも大きい代わりに、高い収益を期待することができます。また、短期であることは損益の確定も早く行えるメリットがあります。長く持っていたのに売り時を失して損が生じた、ということを防げるわけです。
一方、短期間の売買には、その度に購入手数料がかかるというデメリットもあります。
投資信託の長期保有においても売り時(換金)を考える必要があります。大きなポイントとしては、ファンドマネジャーの交代、ファンドの投資方針の変更が挙げられるでしょう。
また、長期投資において重要なのが「見直し」と「分散」です。単に保有していればよいというのではなく、一定期間に見直し、それに基づいて投資を組みかえる、リバランスを図るということが大切です。
いずれにせよ、投資信託には短期投資、長期投資ともにメリット、デメリットがあります。それらをよく知った上でどちらを選択するか判断することが大切です。そして、その際の基準となるのは、やはりご自身の投資の目的です。
車を購入するために短期投資を選択し、その結果、車を購入できた。あるいは子供の教育資金を考えて長期投資を選択し、その結果、子供の成長に合わせ教育資金を用意できた。これらは投資が成功したということです。
短期投資による「得」、長期投資による「得」、いずれも投資の目的に合っているかどうかによるのです。