2019.10.04
資産運用の基礎知識
資産運用における、ローリスク・ローリターンの投資とは?
資産運用の基礎知識
(概要)資産運用におけるローリスク・ローリターンについて考えてみましょう。リスクというのは、投資した資産の値動きの幅を意味しますが、株式投資などであれば不確実性要素が大きいのが特徴です。しかし、できるだけ安定的な投資をしたいと願うのは当然です。今回は、リスクの低い資産運用についてご紹介します。
ローリスク・ローリターン/ハイリスク・ハイリターン
資産運用におけるローリスク・ローリターンは、「値動きが小さく、期待できる利益も小さいが想定される損失も小さい」投資を言い、その対極にあるのはハイリスク・ハイリターンで、「値動きが大きく期待できる利益も大きいが想定される損失も大きい」投資です。
しかしこれは、資産運用を二極化した場合、「そうした色分けになる」ということであって、実際に資産運用を始めている方にとって、どちらか一方を選択するというのは現実的な話ではありません。資産運用におけるリスクへの対応には「リスクの分散」があるからです。
単純な例を一つ挙げれば、運用資金のうち数パーセントはハイリターンが期待できる金融商品に投資するけれども、万一、ハイリターンが得られず損失が出ることも考え、ローリスクの金融商品にも投資しておくということです。
この場合、運用の割合はハイリスク・ハイリターンの金融商品には小さく、ローリスク・ローリターンの金融商品には大きくということになるでしょう。
「ハイリスク」と「危険」の違い
資産運用におけるローリスク、ハイリスクの「リスク」とは何でしょう。
例えば、金融商品の一つである株には値動きがあります。そして、中には値動きの幅が大きいものがあり、値動きの幅が小さいものもあります。
資産運用におけるリスクとはこの「幅」、株価が高くなる可能性もあり低くなる可能性もある「不確実性」を言います。
通常、自己資金50万円で株の売買をしようとする場合、50万円までしか株を購入できません。しかし、株には信用取引というものがあり、なかには自己資金50万円で最大3.3倍の165万円まで株を買うことができる場合もあります。これは現金や株式等を担保として、証券会社からお金を借りて株式の売買を行う手法です。
これを「レバレッジ(「梃子=てこ」という意味です)をかける」と言いますが、大きな利益は見込めても、大きな損失を受ける可能性も高い手法です。
自己資金50万円で購入した株が半分に値下がりしたら、損失は25万円です。しかし、信用取引では165万円で買った株が半分に値下がりした場合、損失は82万5,000円。自己資金50万円はゼロになり、さらに借金32万5,000円を負うことになります。
資産運用には、しっかりした資金管理が必要です。危険な手法と投資におけるリスクの間には一線を画す必要があるでしょう。そのうえでローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンを選択することが大切です。
ローリスク・ローリターンの資産運用
さて、ローリスク・ローリターンの資産運用としては「個人向け国債」があります。
国債とは国が発行する債券ですが、個人だけが購入できる「個人向け国債」は通常の国債とは仕組みの違う国債です。銀行、証券会社などの金融機関で購入することができます。
個人向け国債は、日本が財政破綻しない限り満期時に元本と利息が戻ってきます。国がそう約束しているわけですから、日本国内ではもっとも安全性の高い投資と言えるでしょう。ただ利率は低くまさにローリターンです。
ただ、個人向け国債には金利が変動しない3年固定金利型、5年固定金利型、金利が半年ごとに変動する10年変動金利型があります。変動金利の10年満期型の場合、長期金利が上昇した場合、金利が見直され上昇する可能性があります。最低金利が0.05%と設定されていることも大きな特徴です。
株式や債券はいわば「金融資産」です。そして、金融資産よりは「実物資産」のほうが安心という判断もできます。その際、おすすめできるのが「金」です。
「金」は、世の中が不安定で経済が低迷している時に価値が上がります。もちろん「金」にも価格変動がありますが、もともとの供給量が少ないため、価格は一定以上下がらないだろうという安心感もあります(もちろん約束されているわけではありませんが)。
積立購入という方法もありますから毎月少しずつ買い足していくこともできます。
ローリスクの投資と言えば、実は「預金」もその一つです。ただ、現在の日本の低金利ではリターンがあまりに小さいですね。その点「外貨預金」は日本円と比べて金利が高いところが魅力ですが、為替の変動によって価格変動があります。
外貨貯金による価格変動、いわゆる為替差益とは、1ドル=100円のレートで1万ドル貯金したとすると、1万ドル=100万円の貯金です。しかし、為替レートが円安に動いて1ドル=101円になれば、1万ドル=101万円になります。このとき解約すれば1万円の利益が出ることになります。
預入時に比べ、解約時が円安であれば、円で受け取る金額が大きくなるわけです。ただし、これが逆になる可能性があります。つまり、解約時が円高であれば評価損が生じます。
ローリスク・ローリターンの資産運用は、長期的にコツコツ資産を運用する場合に向いています。そして、ある程度の安心感を持って資産を運用することができます。ただ、そうは言ってもリスクが皆無ではないことも頭に入れておきましょう。ローリスク・ローリターンであっても資金管理は大切です。