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2020/08/13(木)

【介護事例②】介護認定に不満があるときはどうすれば?

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<事例概要>親が介護認定を受けたけど、もっと重いはず。納得できないときは?

会社員の津田良樹さん(仮名52歳)は、近隣の県に父(81歳)が一人で生活しています。母が昨年、亡くなってからめっきり気力も体力も弱ってきて、週末にはいつも車で様子を見に行っていますが、平日はさすがに仕事もあり、介護認定を申請することにしました。

「普段、身の回りのこともなかなか自分ではできないような状態になっているんです。それなのに、認定は要支援2。思ったより使える介護サービスの範囲が狭く、納得できないのですが…」

こんなとき、どうしたらいいのでしょうか。

<状況解説>

介護保険サービスを利用するには、市区町村に「要介護認定」を申請しなければなりません。「要介護認定」とは、本人が要支援状態や要介護状態にあるかどうか、あるとすれば要支援1から要介護5までの7段階でどこに当てはまるかを判定する手続きです。

判定は次の2ステップで行います。

第1ステップは、本人の心身の状況についての聞き取り調査および主治医意見書に基づくコンピュータ判定(一次判定)です。第2ステップでは、一次判定をベースに、保健や医療、福祉の学識経験者5名程度で構成される介護認定審査会で最終の二次判定を行います。

こうした要介護認定の判定は、介護保険サービスの利用範囲や給付額に連動するので、全国一律に客観的に定められた基準を用います。

具体的には、介護の手間を表す「要介護認定等基準時間」がベースとなります。これは介護老人福祉施設などに入所、入院している3500人の高齢者を対象に、丸2日でどのような介護サービスが、どれくらいの時間、行われたかを調べた結果(「1分間タイムスタディ・データ」)をまとめたものです。

 

要介護認定は、この「要介護認定等基準時間」を基本に、痴呆性高齢者の指標などを加味して行われます。

要支援1~2、要介護1~5の分類は次のようになっています。ただし、各分類における要介護認定等基準時間はあくまで介護の必要性をはかる“ものさし”であり、そのまま在宅で受けられる介護サービスの合計時間と連動するわけではありません。

要介護認定の分類

要支援1 要介護認定等基準時間(※)が25~35分、またはこれに相当すると認められる状態
要支援2 要介護認定等基準時間が32~50分、またはこれに相当すると認められる状態
要介護1 要介護認定等基準時間が32~50分、またはこれに相当すると認められる状態(要支援2とは心身状態の様子で分ける)
要介護2 要介護認定等基準時間が50~70分、またはこれに相当すると認められる状態
要介護3 要介護認定等基準時間が70~90分、またはこれに相当すると認められる状態
要介護4 要介護認定等基準時間が90~110分、またはこれに相当すると認められる状態
要介護5 要介護認定等基準時間が110分以上、またはこれに相当すると認められる状態

※厚生労働省資料より。「要介護認定等基準時間」とは、①直接生活介助(入浴、排せつ、食事等の介護)、②間接生活介助(洗濯、掃除等の家事援助等)、③問題行動関連行為(徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等)、④機能訓練関連行為(歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練)、⑤医療関連行為(輸液の管理、じょくそうの処置等の診療の補助)の5つの分野ごとに算出された時間の合計をいう。判定にあたっては、要介護認定等基準時間と認知症加算の合計を基に行う。

実際の要介護認定の結果について、津田さんのように家族や本人が思ったより軽いレベルになるということがあります。

考えられる原因としては、一次判定の聞き取り調査の際、本人の状態が調査員にきちんと伝わっていなかったということがありえます。聞き取り調査は30分から1時間程度と限られています。痴呆症の場合、日によって状態が大きく違うことは珍しくありません。

主治医意見書についても、複数の医療機関を受診していたりすると情報に漏れが生じる可能性があります。さらにいえば、高齢者の増加に伴って多くの自治体では介護保険の運営がひっ迫してきており、認定を厳しくする傾向があるともいわれます。逆に、申請者の側としてはつい、本人の年齢や生活環境(一人暮らしなど)を重視しすぎているのかもしれません。これらは直接、認定には影響しません。

要介護認定の結果に不満がある場合はまず、市区町村の担当部署(介護保険課など)の窓口で相談します。

そこでの説明でも納得できないなら、認定通知を受け取った翌日から60日以内に、都道府県の「介護保険審査会」に取り消しの申し立てを行うことができます。ただ、結果が出るまで数か月かかりますし、取り消しの判定が出ても、そこから再度、要介護認定の申請を行うことになります。

実際には、市区町村に対して「区分変更の申請」を行う方法がよく利用されています。「区分変更の申請」は本来、認定の有効期間中(初回認定の場合は原則6か月)に本人の状態の変化などがあった際に行うものですが、認定結果に納得できない場合にも用いられているのです。

なお、「区分変更の申請」は、ケアマネジャーもしくは地域包括支援センターに相談した上で行います。

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