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2020/08/12(水)

【相続事例①】めぼしい遺産は自宅だけ。 遺産分割はどうなるの?

不動産 相続

<事例概要>親が亡くなったが、めぼしい遺産は自宅だけ。同居していた兄夫婦がそのまま住み続けるのか?

静岡県にお住いの斎藤恵子さん(仮名50歳)。実家は愛知県にあり、10年前からお母さんとお兄さん一家が二世帯住宅を建て、同居していました。お父さんは15年ほど前に亡くなっています。ところが最近、お母さんが脳梗塞で倒れ、そのまま息を引き取ってしまいました。

「慌ただしく葬儀を出し、満中陰志も済んだ後、兄から遺産分割の話があったのです。兄としては、母と住んでいた二世帯住宅にそのまま住み続けたいとのこと。母の遺産としては数百万円の預貯金と父から相続した自宅の敷地、そして二世帯住宅の持ち分があるだけです。その敷地と持ち分は時価で5000万円以上するのに、すべて兄が相続するというのです」

いくら離れて暮らしていたとはいえ、釈然としない斎藤さんです。

 

<状況解説>

日本ではいま、年間130万人以上の人が亡くなっています。人が亡くなると、必ず発生するのが相続です。相続とは、亡くなった人が生前、持っていた財産上の権利・義務をそのまま相続人が引き継ぐことです。財産上の権利とは預貯金や不動産などのこと、義務とは借金などのことです。

相続人が複数いる場合、亡くなった人との親族関係に応じて民法上、こうした権利・義務をどのような割合で相続するかが一応、決められています。しかし、相続人間の話し合いによって、自由に決めることもできます。

斎藤さんの場合、相続人は斎藤さんとお兄さんの2人であり、民法上の相続割合は2分の1ずつです。それに対し、お兄さんから亡くなったお母さんが所有していた自宅の敷地と二世帯住宅の建物の所有権(持ち分)を相続したいという話があったわけです。ほかの預貯金などは斎藤さんが相続するということでしょう。

しかし、本来は2分の1ずつ相続する権利があるのに、斎藤さんの相続分はあまりに少ないといえます。

実は、斎藤さんのようにめぼしい遺産が自宅の土地建物だけというケースは少なくありません。自宅が都市部にある場合、その時価は数千万円から1億円を超えることもあるでしょう。その分け方を巡って、相続人同士のトラブルに発展することも珍しくないのです。

では、めぼしい財産が自宅だけという場合、どうすればいいのでしょうか?

<解決方法の一例>

一番簡単なのは、自宅の土地建物を売却して現金化し、それを法定相続分で分ける「換価分割」といわれる方法です。

ただ、斎藤さんのケースもそうですが、その自宅に同居している相続人がいると、換価分割によって生活の拠点を奪われることになってしまいます。できれば住み続けたいと考えるのは当然でしょう。

このようなとき、解決策のひとつとしてよく利用されるのが「代償分割」と呼ばれる方法です。より多くの遺産を相続する相続人が、他の相続人に対して金銭(代償金)を支払うことでバランスをとるものです。代償分割のためには、より多く遺産を受け取る相続人(斎藤さんの場合は兄)に代償金を支払えるだけの資金力が前提となります。

斎藤さんのお兄さんの場合、二世帯住宅を建てたときの住宅ローンが残っており、子どもの教育費もかかります。ただ、亡くなったお母さんがお兄さんを受取人とする生命保険に入っていました。その保険金が1000万円ほど下りたので、それを代償金にあてることにしました。

本来の相続分(2分の1)には達しませんが、これまで兄夫婦が父母と同居し、面倒を見てくれたこともあり、斎藤さんは納得することにしたといいます。

<追記>

なお、遺産が不動産のみという場合、ほかにも「共有」や「現物分割」という方法もありますが、使い勝手がいいとはいえません。

特に「共有」は、ひとつの不動産を複数の所有者の共有名義にする方法です。一見、公平なように思いますが、共有物の処分などには共有者全員の同意が必要となります。共有者である相続人が亡くなり、その子などへの相続で共有者がさらに増えると、どんどん面倒になります。相続において、不動産の共有はトラブルの原因になりやすいので避けるべきです。

めぼしい財産が自宅のみで同居する相続推定人がいるようなご家族では、あらかじめ遺言を作成したり、斎藤さんのように「代償分割」の原資とするため生命保険を利用することをぜひ検討するとよいでしょう。

 

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